著者は東洋建築史専門の建築士。
戦時中はバンドン工科大学の教授を、1972年からはユネスコの招聘に応じてボロブドゥール遺跡修復技術諮問委員会委員を務め、アジアの中でも特にこのジャワ島の寺院に縁の強い方です。
この本はインドネシア ( ジャワ島・バリ島・スマトラ島 ) だけではなく、インド・スリランカ・ミャンマー・タイ・ベトナム・カンボジアの遺跡調査旅行の記録と各地の遺跡を体系的に比較して記した本です。専門書ではありますが、小難しい専門用語はほとんど出てこず、すごく読みやすいです。
また、やはりジャワ島に造詣が最も深い著者のことですから、ボロブドゥール寺院のみならず、ディエン高原のヒンドゥー教寺院群、プランバナン平原の諸寺院、マランやクディリなど東ジャワにある遺跡などなど、ガイドブックに載っていない寺院がたくさん登場します。
旅行記でもあり、歴史本でもあり、学術書でもあるこの本。遺跡への旅情をかきたてる一冊です!
この著者がボロブドゥール寺院に特化して書いた本『ボロブドールの建築』もあります。